月は無慈悲でないんでないか?
月。太陽系第三惑星地球の衛星。
昼にはその地表が加熱され摂氏130度を上回り、夜にはマイナス
170度を下回る。
その環境は生命が住むには全然適していない。
空気もなければ水もない。地熱もないし磁気も弱い。
地獄だと言われるとしても仕方のない環境かもしれない。
地形は下手したら地球以上の高低の上、ご丁寧にも砂漠まである。
月の〜砂漠の〜…ってそれそんな意味じゃないし。
クレーターだらけで地面もボコボコだ。
とにかく、月にはうさぎもかぐや姫も住んではいまい。
だからといって月の存在が無駄かと言えばそんなことはない。
というより月がなければ、今の地球の生命がこれだけ育まれる
ことはなかった。
てか、よく考えたら月は本当に衛星なのか?
確かに地球のまわりを回っている、かのようにみえるけどさ。
地球からだんだん離れていっているらしい。
年間2cmの速度で地球から遠ざかっている。
それでもまぁあと数億年は地球のまわりをまわることになると
思うけど、多分。
大体地球の規模に比較して月はでかすぎる。
あ、冥王星のカロンも冥王星に比較してでかいけど、あっこ
までいくと衛星というより連星かも。
ただ、月がこれだけの大きさで存在してくれたことは生命に
とって幸いだったにちがいない。
月がなければどうなるか。
月が今よりはるかに小さかったらどうなるか。
火星の衛星、フォボスやダイモスのような大きさだとしたら。
まず隕石が今よりたくさん降ってくる。
月がなかったら月にあたるはずの隕石が地球にあたる。
その中には人類滅亡級のもある。
また、干満が小さくなるため、潮干狩ができない…じゃなくて
干潟の生命は生存できない。
浅い海で栄養源が十分に行き渡らないためである。
そして月の重力がないため熱の移動が少なくなるため、移動が
起きる時には極めて大きなものとなる。
台風などは現在の地球をはるかに上回るものとなるだろう。
こうなると考えられるのは、生命の進化速度は現在の地球よりも
はるかに遅くなるのではないかということである。
多細胞生物が誕生するまで相当時間がかかるんじゃないだろうか?
例え誕生したとしても、地上は隕石や暴風ですさまじいことに。
陸上に生命が存在するのは困難で、特に植物が大変なのでは
なかろうか。
飛行生物も地球ほどは存在できまい。
なんせ暴風でまともに飛べないんだから。
人類のような存在も生まれないかもしれない。
大きな木が生育できないから樹上生活もできない。
ないないづくしではないか。
よく地球は、母なる大地ビッグマック地球と称されることがある。
そして月はその生命が生存できない環境からか、死のイメージ
夜のイメージ、など暗いイメージが付きまとう。
でもこうやって考えていくと、むしろ月は地球の生命を守ってきた
守護者なのではないかとも思えるのだ。
太陽は時に太陽フレアをぶちかます。
地球だって地殻変動や天候変化で生命を脅かす。
それに耐えたもののみが生き残ってこられた。
…月はどうだろう。
月の誕生は原始地球に小型惑星が衝突したことによる。
俗に、ジャイアントインパクトとよばれる巨大衝突だ。
そして地球上の生命は(存在していたとしたら)まさに地獄を見た。
灼熱地獄を生き延びた生命。
月の誕生はまさに厄災だったかもしれない。
しかしだ。
それから月は無数のクレーターを自らに刻みながら、地球の生命が
過剰に隕石にさらされるのを避けてくれた。
時に夜の明かりとなってくれた。
太陽と地球こそが生命を生み、育てた。
確かに彼らが主役であったのは間違いないだろう。
…しかし、月の存在が今の生命を今ある形にしてくれたのだ。
月がなければ我々は我々足り得なかった。いろんな意味で。
そして人間が今の人間になって、月を元にさまざまな
インスピレーションを生み出し、さまざまな作品を作ってきた。
だから月なんてどうでもいいとかいう奴は、月に代わってお…